X'mas Gift

<創作> <読み切り> <恋愛> <掌編/文字数:461文字>

公開日:2006/12/16
書き下ろし


「悪い、今日は仕事終わるまでそっちに行けない。先に飯食っていてくれ」
 アイツからそう着信があったのは、もう6時間も前のことだ。もうすぐ日付変更線も跨いでしまう。
 確かに彼は宅配便会社の正社員で、この時期は目が回る程の忙しさだと分かっている。……けれど、せめてイブの夜くらいは、恋人と一緒にいて欲しい。そんな我が侭を思い続けてもう5年経ったろうか? ケーキだけ冷蔵庫にしまって、残りは適当に片付けてしまった。寝床の準備も済ませ、シャワーでも浴びようかと電源を入れた時だった。

ガチャガチャ、ガチャリ

 直感でアイツだと分かった。合鍵を使い玄関を開けて入ってくる彼は、配送時の制服のままだった。着替える暇もおそらく無かったのだろう、今年は特に忙しかったらしい。ココアでも入れてやろうかと台所に戻りかけた私の手を掴み、アイツは黙って一枚の紙を私に突き出した。……これって!?
「言っただろう。物を全部配り終えるまでは、今日の仕事が終わらせられないんだよ」
 アイツはそう言って、改めて婚姻届を見えやすい位置に置いた。
「判子を頂けませんでしょうか?」

<END>