ナイト・キャップでおやすみ
<創作> <読み切り> <恋愛> <掌編/文字数:300文字>
公開日:2020/02/01
Twitter300字ss企画(Web企画投稿作品再録)
お題:包む
「馬鹿ぁ!」
カウンターに座り込むなりこの絶叫。また男に逃げられたのか。
「ホレ、これで顔拭きなさい。化粧が殆ど流れてる」
「ヤダ、私すっぴんだと青髭浮き出たママみたいに酷いもん」
「人の厚意何だと思ってやがる小娘!」
渋々おしぼりを受け取るも、彼女の涙が止まる様子はない。
全く。
グラスにダークラム・バター・砂糖を入れ、お湯を静かに注ぎかき混ぜる。
「今夜はもうこれ以上飲むんじゃないよ」
そう念押ししてから帰す用のタクシーを電話で呼ぶ。
「……『ママ』が『彼』だったら良かったのに」
「そいつは無理な相談だな。温かく包んでくれる奴が現れるまで、一先ずそれでさっさと寝んねしな」
『私』は苦笑して、ラムをロックで呷った。
<END>
「ナイト・キャップ」は本来眠るときに被る帽子を指しますが、転じて眠る前に飲むアルコール類や、それらを飲む習慣のことを指すそうで、作中にでてくるホットバタードラムとかがそれですね。