とある商人と導きの種

<創作> <シリーズ:とある探偵と花の魔女> <ファンタジー> <掌編/文字数:300文字>

公開日:2019/08/03
Twitter300字ss企画(Web企画投稿作品再録)
お題:旅


「さてはアンタ、こことは違う世界から来なすったね。一体どういう用向きで?」
 直接声を掛けられ驚愕したケディだったが、気を取り直しこう答えた。
「いや、ここには来る予定じゃなかったんだ。柄にも無く道に迷ってしまってな」
 すると相手は、ある一点を指差した。

 その先には扇状に葉を広げた木。その黒い鞘が爆ぜ中から青いバナナのような実が沢山出てくると、美しい羽根を伸ばして次々と空へ舞い上がっていく。

「あれの名はタビビトノキ。その実は自分達の力で世界を渡り、より快適な土地へと子孫を残していく。あの後を追って行けば、馴染みの土地へと出るかもね」
 それを聞いたケディは、様々な品を御礼として渡し、空飛ぶ種の隊列を追った。

<END>