とある喫茶店と休日の一コマ

<創作> <シリーズ:とある喫茶店~> <日常> <掌編/文字数:300文字>

公開日:2019/05/04
Twitter300字ss企画(Web企画投稿作品再録)
お題:歌


「ご機嫌な顔だな」
 喫茶店のカウンターでのんびりと珈琲を楽しんでいた女性は、脇に控えていた黒猫にそう声をかけられ視線を向けた。因みに店内には彼女と猫の二人だけしかいない。
「じき判るわ」
 そう呟くなり、外からポツポツという音。
「雨粒が地面を叩く音って、何だか空と地が互いに奏でる歌みたいで素敵じゃない?」
 無邪気にそう答える彼女に対し「湿気は苦手なんだがな」と黒猫はぼやくと、そのまま椅子の上でふて寝を決め込んだ。
「さて、時代は新しく移り変わった訳だけど、あの子はどう成長していくのかしらね?」
 普段この店を任せている姪の事を思い浮かべ微笑むと、店長である女性は雨音をBGMに優雅な昼下がりを過ごすのであった。

<END>