とある商人達の或る一コマ

<創作> <シリーズ:とある探偵と花の魔女> <ファンタジー> <掌編/文字数:300文字>

公開日:2017/10/07
Twitter300字ss企画(Web企画投稿作品再録)
お題:酒


「金目の物をよこしな!」

 ソカック・ケディスィ商会が街道を往くと、突如賊に阻まれた。此方は数名、対して相手はその5倍。
 ケディは舌打ちをしつつ、脇に控える細身の男を視界に入れる。
「生憎だが、対価を支払わない連中はお断りでね!」
 凶刃が振り下ろされる間際、ケディがそう叫ぶや否や、脇にいた男の口から炎が上がった。それはすかさず巨大な火蜥蜴へと姿を変え、賊一味をその身に呑み込もうとする。
 面妖な術を使う相手に恐れをなしたのか、賊は直ぐ様撤退していった。
「……やれやれ、折角仕入れた高級酒が台無しだ……」
 黒猫のケディは、人間の形を模して作られた鞄の口を覗き込みながら、中に仕舞わせておいた商品の在庫を数え始めた。

<END>
 黒猫(?)でかつ商人であるケディと、そのしもべ達が巻き起こすアクション劇。因みに、この一コマは異世界でのお話です。