とある探偵助手の一コマ

<創作> <シリーズ:とある探偵と花の魔女> <ギャグ> <掌編/文字数:300文字>

公開日:2017/08/05
Twitter300字ss企画(Web企画投稿作品再録)
お題:休


 意を決した顔でレイチェルは、ある店の前に立っていた。
 サマーニット帽で金髪を隠し大ぶりのパーカーを羽織った彼女は、扉を開け隅へと陣取る。
「いらっしゃい、何になさいます?」
 彼女はメニューからある頁を指さした。
「……かしこまりました」
【事務所が休みの今日が絶好の機会なんだ】
 彼女は静かに、その時を待つ。

「お待たせしました」
 店主の震える声と共に出されたのは、十人前は超えるだろう量の炒飯と餃子。彼女は何の躊躇いも無くレンゲをその山へと突っ込む。所作はあくまで上品なのだが、その山は確実に形を崩されていく。
 しばらくして跡形も無く平らげられたソレを見て呆然とする店主に、彼女は告げた。
「醤油ラーメン一つ、シメで」

<END>