とある恋人の、茶色い弁当
<創作> <シリーズ:とある恋人~> <日常> <掌編/文字数:300文字>
公開日:2017/05/06
Twitter300字ss企画(Web企画投稿作品再録)
お題:色
休憩室で弁当を食べようとした時、同僚から声をかけられた。
「よう、隣失礼するぜ。それお前の手作り? 何か色味が渋いんだけど」
「別に普通だと思うけど」
こいつが無遠慮なのはいつもの事だが、ムッとした俺はナスの味噌炒めを摘まむ。時間が経っていることもあり、皮の紫色が若干濁り味噌の部分にまで広がっている。認めるのも癪だが、確かに見てくれはよろしくは無いな。
口に放り込むとユキからラインの着信があったのに気づき確認する。
『今朝の味噌炒め、ニンニクが効いていて美味しかったです。アツシさん、腕上げたね』
「どうした堀川、顔が変だぞ?」
同僚から訝しがられ、俺は『仕事関係から』と嘘をつくと弁当の残りを慌ててかきこんだ。
<END>
篤志は会社関係の人間に、同性の恋人がいることを伏せております。