とある喫茶店と卸業者とそして……
<創作> <シリーズ:とある喫茶店~> <ファンタジー> <掌編/文字数:300文字>
公開日:2017/02/04
Twitter300字ss企画(Web企画投稿作品再録)
お題:氷
それは、寒さがいっそう厳しいある日の朝。
茶々良がいつものようにゴミ出しのため、テラスの端から延びる階段を降りようとした時だった。
彼女の視線の先には、珈琲豆の卸業者である阿藤が佇んでいた。彼は愛猫であるケディを胸に器用に抱きかかえ、誰かを待っているようだった。
「すみません、先に店内で待っていて下さい!」
彼女は慌ててゴミ袋を抱え集積所へと駆け出した。
男の腕が突如下がり、猫が路面に降り立つ。
「っ寒!」
そう呟いた『猫』は、慌てて男の体を器用に駆け上がる。
「いや、助かった。道路がまるで氷みたいだ。こんな所に長時間待たされちゃ適わん……鳴海の奴め」
そうボヤキつつ、猫と男は温かい店へと入っていくのであった。
<END>
今回は看板娘の茶々良と、とある商人さんとの冬のある一幕。彼女にとっても『彼』にとっても、何の事は無い普段の日常の一幕。