とある恋人の大掃除

<創作> <シリーズ:とある恋人~> <日常> <掌編/文字数:300文字>

公開日:2016/12/03
Twitter300字ss企画(Web企画投稿作品再録)
お題:火・炎


 突っ張り棒の先端に要らない靴下、更にその上にストッキングを被せると、篤志はそれを冷蔵庫の裏に差し込んだ。冷蔵庫の側面やコードを撫でていくと、見る間に先端が埃まみれになっていく。
「うわー汚え!」
「こっちも凄いことになっているよ」
 戸棚の下に同様の棒を差し込んでいた結樹が、叫びながらそう応えた。
「普段から掃除はしている方だと思っていたが」
「しょうがないよ。この部分は手が届きにくいし、休日も掃除だけやっている訳じゃないしね」
 綿埃を隙間から掻き出してティッシュに包む。
「ま、これで火災の心配も一先ず無くなったってことだな」
「うん。来年も良い年を過ごせると良いね」
 そう言って、二人顔を見合わせ微笑むのだった。

<END>
 あんまり「火・炎」って訳じゃないけど、まあ火の用心ということで。