とある恋人の手仕事

<創作> <シリーズ:とある恋人~> <日常> <掌編/文字数:300文字>

公開日:2016/06/04
Twitter300字ss企画(Web企画投稿作品再録)
お題:地


 篤志は一人黙々と手を動かしていた。
 目の前には大量の生地。この間手芸店で安売りしていたのをまとめ買いしておいたものだ。彼は、器用にそれらの端切れをパッチワークに仕立てていった。

 次の日、彼の恋人である結樹がいつも通り弁当を用意しているところに篤志は声をかけた。
「ユキ、良かったらこれ使ってくれや」
 ぶっきらぼうに言いながら、彼は作っていた巾着袋を恋人に渡す。
「嬉しい! 弁当袋、前まで使ってたのが駄目になったから代わりの買うつもりだったんだ。ありがとう」
「気にすんな。じゃあ俺は寝るわ」
 篤志が寝室へと入るのを見ていた結樹は、微笑みながら手元の袋を見ていた。
「口は乱暴だけど、本当手作業は細やかで繊細だよなー」

<END>
 厳つい見た目・雰囲気を持つ篤志の趣味は、手芸全般という設定を詰めてみました。