とある探偵のいけない夜
<創作> <シリーズ:とある探偵と花の魔女> <ギャグ> <掌編/文字数:300文字>
公開日:2015/10/03
Twitter300字ss企画(Web企画投稿作品再録)
お題:夜
駄目だ、こんなことしていたら。
だが、彼は己の欲望に負けた。口の中に涎が思わず溢れてくる。飢えた本能に支配された体は最早理性の言うことを聞いてはくれない。
そうだ、俺が欲しいのは――。
「駄目だー、やっぱおかず欲しいわ!」
智也はそう叫んでPCの前に突っ伏した。画面には美味しそうな料理の動画。彼は半泣きになりながら、傍らの茶碗を眺める。
そこには、自身の能力で作ったカリフラワーの炊き込みご飯――尤もご飯は二割にも満たない――が山盛りになっていた。植物を自在に操る特殊能力も、貧乏暮しにはご飯の嵩増しに利用するしかないなどと助手には口が裂けても言えない。
彼は今日も飯テロ動画をエアおかずにして涙するのだった。
<END>