とある喫茶店でのお花見

<創作> <シリーズ:とある喫茶店~> <日常> <掌編/文字数:300文字>

公開日:2015/04/04
Twitter300字ss企画(Web企画投稿作品再録)
お題:花


「もう、何でいつもこうなるのよ~」
 茶々良はドアに突っ伏し外の風景を睨み付けた。塀を越えた先には、向かいの公園の桜が満開となり夜空に映えている、その筈だった。週末の強風と雨の所為で今は見るも無残な姿だが。
「夜桜観賞の営業時間延長、イケると思ったんだけどな」
 諦めて閉店の札を出そうとした時、階段から思わぬ来客があった。いつもの4人だった。
「よう、店員さん。今夜はまだ店空いているんだろ。酒飲んでいいか?」
 ドアを開けて、常連の一人である眼鏡の男が気さくに話しかけてくる。彼女は顔に笑みが浮かぶのを感じながらも、こう切り返した。
「お酒の持ち込みは禁止です。うちは喫茶店ですから。まずは珈琲を一杯如何ですか?」

<END>
 昔の法律での区分分けですが、お酒を提供する形態の店を「カフェ」・あくまでアルコールを含まない飲料のみを提供する店を「喫茶店」と言っていたとかなんとか。
 因みに喫茶「すてばちや」では、調理工程が複雑な食事メニューも取り扱うのでレストランや食堂と同じ「飲食店営業」に該当。