とある日の探偵とその助手の会話

<創作> <シリーズ:とある探偵と花の魔女> <恋愛> <掌編/文字数:300文字>

公開日:2015/02/01
Twitter300字ss企画(Web企画投稿作品再録)
お題:雪


 へっくし。
 手の甲で鼻水を拭くと、道路脇からレイがマフラーを放ってくる。
「だから持って行けと言ったのに」
「うるせえ。ちょっと珈琲買いに行くだけだろ」
 すると相棒が溜息を吐いてこちらに近づいてくる。
「なら、コレも持って行け。全く、僕の手を煩わせるな」
 見ると、奴の手には俺の財布。あー、昨日はあんだけ呑むんじゃなかった。
 相棒が来るのを憂鬱に待ってた俺は、奴が歩道手前で姿勢を崩すのを見て咄嗟に手を伸ばした。己の腕に触れる、奴の胸の柔らかさに思わずどきりとする。
「……雪だったから、路面の凍結には気をつけろ。全く、お前こそしっかりしてくれ」
 俺は、レイチェルに自分の動揺が伝わらないように、そっとその場を離れた。

<END>
 これを書いたことで「とある探偵と花の魔女」シリーズをやっていこうと思いつきました。