スタートライン

<創作> <読み切り> <詩>

公開日:2010/02/28
書き下ろし


ワタシはもうどの位ココに在(い)るのだろう
若しかしたら 途方もない程の時間をかけたのかもしれないし
あっという間もない程に 刹那の瞬間にワタシはここに在(い)たのかもしれない

ワタシにはココという空間を感じる術(すべ)はいくらでもある
いや、正確には 感覚的だったものが感覚になっていったんだ

例えば 今目の前の世界は
とてもあたたかい存在が自分とごく近くに接している
触覚、視覚、聴覚、嗅覚、味覚
それらの全てが 自分の中から自然発生していったものだ

だけど ワタシはこれらの感覚は全て 目の前の世界から与えられてきたんじゃないかと思うんだ

ワタシの周囲には何もない
ここはワタシと世界とが作り出している閉鎖空間だ
時折ワタシは世界から様々な刺激を受ける
ここにはワタシしかいない筈なのに
まるで世界が一つの意思を持った存在であるかのようにワタシに関わってくるんだ
ワタシは 世界と一心同体ともいうべき存在であるのに どうしてそんなことを感じるんだろう


どうしたんだ
何が起きたんだ
世界よ ワタシを独りにしないで!
今までワタシと一つの存在だったじゃない
どうして世界(あなた)からワタシを切り離そうとするの
ワタシをどこに追いやろうとするの
この閉鎖空間以外に何かセカイがあるというの
ワタシはそこで、もう一度世界(あなた)とあえるの
もうワタシは ここにはいられないのね

それなら ワタシは


「おめでとうございます 元気なお子さんが生まれましたよ」

<END>
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